ケア・ルーツのWEB担当佐藤です。
認知症には様々な種類があるのをご存知ですか?
認知症は主に4つに分類されるのですが、今回はその中でも認知症全体の60%以上を占めるという「アルツハイマー型認知症」について説明いたします。
アルツハイマー型認知症の特徴
アルツハイマー型認知症を発病する予兆としては、もの忘れよりも不安や抑うつなどが目立ち、気づきにくい場合があります。症状の経過は軽度、中等度、高度と進みます。
【軽度の場合】
記憶障害・見当識障害などの症状が目立ち始め、新しい情報を記憶できなくなり(記銘力障害)、直前のことも忘れてしまう。日時や季節感が曖昧になったり、バスなどに乗っていて目的地を忘れたりします。
【中等度の場合】
言葉が思い出せない(失名詞)、複数手順の作業ができず服を着るのが困難になる(着衣失行)、家族や友人の顔を認識しにくくなる(視空間失認)などが見られる。
【高度の場合】
人とのコミュニケーションがとれなく、うめき声を発するようになり、体も動かせず、寝たきりになってしまう。最終的に目は動かすが、身動き1つせず、言葉も発さなくなります(失外套症候群)。
アルツハイマー型認知症の原因
アルツハイマー型認知症の原因はいくつか説がありますが、その中でも最も有力だとされているのが、アミロイドβ仮説です。この説は、アミロイドβが認知症の原因とする説で、アミロイドβが脳内に蓄積することでアルツハイマー型認知症を発症するとされています。
他にも、アセチルコリン仮説やオリゴマー仮説などがあり、アミロイドβ仮説を否定する、別のアプローチをする研究もあります。しかし、現在の新薬開発の主流は、アミロイドβ仮説に基づいています。
アミロイドβとは?認知症に影響する理由
アミロイドβとは脳内で作られたたんぱく質が分解されたもので、複数のアミノ酸で出来ています。そして、無害で排出されやすいものと、毒性が強く、たんぱく質同士が互いにくっついて脳に溜まりやすいものに分かれます。
また、蓄積したアミロイドβは、脳細胞を死滅させると考えられています。記憶の主体である脳細胞が死滅すれば物忘れが起こると考えれば、イメージしやすいでしょう。また、アミロイドβは血管の壁に沈着することもあり、脳出血の原因となることもあります。
このように、蓄積のメカニズムについては、まだ完全には解明されていませんが、加齢などにより分解や排出がうまくいかなくなると、毒性の強いアミロイドβは認知症を発症する20年も前から脳に溜まり始めていると言われています。
アルツハイマー型認知症の治療薬と予防
アルツハイマー型認証に使われる薬には、どのような薬があるか、どんな副作用があるかを紹介します。
アルツハイマー型認知症の治療に使われる薬
日本で現在認可されているのはドネペジル(製品名:アリセプト)・ガランタミン(製品名:レミニール)・リバスチグミン(製品名:イクセロン、リバスタッチ)・メマンチン(製品名:メマリー)の4種類あります。
一般名 | ドネジベル | ガランタミン | リバスチグミン | メマンチン |
製品名 | アリセプト | レミニール | イクセロン リバスタッチ | メマリー |
対象 | 軽度〜高度 | 軽度〜中等度 | 軽度〜中等度 | 中等度〜高度 |
1日の投与回数 | 1回 | 2回 | 1回 | 1回 |
主な副作用 | 悪心・嘔吐・食欲不振・下痢・便秘 | 悪心・嘔吐・食欲不振・下痢・頭痛 | 紅斑・掻痒・浮腫・悪心・嘔吐 | めまい・便秘・頭痛 |
以上がアルツハイマー型認知症の治療薬で、どれも効果効能はアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制です。認知症を治す薬ではありません。
このことからも、一度アルツハイマー型認知症になると健康だった頃に戻ることはできないことがわかります。よって、認知症にならないように予防することが大切になります。
アルツハイマー型認知症の予防

アルツハイマー型認知症の予防で重要なのは、運動と睡眠です。
【運動について】
1日5000歩以上、そのうち7.5分速歩きのウォーキングをすることが予防につながると言われています。運動することによってアミロイドβを分解する酵素が活性化され、アミロイドβの蓄積を防ぐとする報告があります。
【睡眠について】
睡眠中に脳は脳内の老廃物を排出する活動をします。老廃物の中にはアミロイドβもあるので、睡眠をちゃんととらないと、アミロイドβが蓄積され、アルツハイマー型認知症になりやすくなります。
Hachiを使って歩数を管理し認知症予防

運動と睡眠を意識的に管理するのは難しい方は、Apple Watchなどのスマートウォッチで歩数やバイタル・睡眠時間を管理し、常に体の状態を把握する習慣を身につけると良いでしょう。
そして「見守りサービス Hachi」を使えば家族の健康管理もでき、見守りたい人の歩数が一目で分かります。歩数で運動量が分かるので、歩数が低い状態がが続けば認知症になるリスクが高くなります。そのほかにも、心拍数・心拍変動(体の調子を数値化したもの)や、位置情報が分かります。
家族間で歩数などを見守りながら、体調を気遣ったり、一緒にウォーキングするなど、コミュケーションをとるとさらに認知症になるリスクが減ります。このことが将来、自分自身が認知症になること、ご家族が認知症になることを防ぐ手助けをしてくれるかもしれません。